市街化区域内の農地を転用する方法と最適な活用法の見極め方

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市街化区域内の農地の転用について、できれば土地活用や売却を検討したいけど、「そもそも簡単に転用できるの?」「どのような手続きが必要なの?」と気になっていませんか?

結論、市街化区域内にある農地であれば、「農業委員会への届出のみ」で簡単に転用し土地活用することが可能です。

特に三大都市圏の特定市街化区域農地に該当している場合には、固定資産税も宅地並みに高くなってしまっているため、ニーズ次第では、転用して土地活用するメリットは非常に大きいと言えます。

このページでは、これまで土地活用のコンサルティングを業務として300人以上の土地オーナーの最適な土地活用や賃貸経営について支援をしてきた筆者が、「市街化区域農地の転用方法と最適な土地活用の見極め方」について、以下の流れに沿ってご紹介します。

  1. 農地の種類と転用の可否|市街化区域内の農地は「届出」のみで転用できる
  2. 市街化区域農地を転用するメリット・デメリット
  3. 市街化区域内の農地を転用するための具体的な手続き方法と流れ
  4. 自分に最適な土地活用方法を見極めるための3ステップ
  5. 土地活用を業者に相談する際の2つの注意点

このページをすべて読めば、「市街化区域農地の転用と最適な土地活用」についての理解が深まり、「自分にとってベストな資産活用」の検討に向けて、自信を持って第一歩を踏み出していただけるようになるでしょう。

1. 農地の種類と転用の可否|市街化区域内の農地は「届出」のみで転用できる

農地は大きく5種類に分けられ、その種別によって転用許可の基準が大きく異なります。

農地の種類と転用の可否
種別 概要 転用可否
農用地区域内農地 特別指定区域内の農地 原則転用不可
甲種農地 市街化調整区域内かつ営農条件の良い農地 原則転用不可
第1種農地 10ha以上の一団の農地、営農条件の良い農地等 原則転用不可
(公共性の高いもののみ可能性あり)
第2種農地 今後市街地化する見込みのある地域の生産性が低い農地等 条件次第
(生産性が低い等、農地としての適正次第)
第3種農地 市街地化された地域にある農地 原則許可
(市街化区域内であれば「届出のみ」でOK)

「国民に対する食料の安定供給の確保」という目的から、農地は「農地法」により転用が規制されており、農業委員会による許可がなければ転用することはできません。

さらに、農業委員会による許可も、上記のとおり、一定の条件を満たす場合でなければ受けられないという厳しい内容になっております。

そのため、基本的に転用が可能な農地は、「第2種農地」と「第3種農地」に限られておりますが、「第3種農地」であれば原則許可され、さらに市街化区域内の農地であれば「届出(申請)のみ」で簡単に転用することが可能です。

2. 市街化区域農地を転用するメリット・デメリット

メリット デメリット
⭕️固定資産税が安くなる ❌農地に戻すことは困難
⭕️収益が上がる 初期投資が必要
⭕️相続税対策もできる

市街化区域農地の転用(活用)には、活用方法にもよりますが、主に上記のようなメリット・デメリットがあります。

市街化区域は、そもそも行政が優先的に市街化したい区域であることから、転用して活用した方がメリットが多いと言えます。

2-1. 市街化区域農地を転用する主な3つのメリット

  1. 固定資産税が安くなる
  2. 収益が上がる
  3. 相続税対策もできる

市街化区域農地を転用することによって得られるメリットは様々なものが考えられますが、主なメリットとしては上記の3点と言えるでしょう。

固定資産税が安くなる

市街化区域内にある農地は、通常の農地よりも固定資産税が大幅に高く、特に三大都市圏の特定市街化区域農地の場合には、宅地とほぼ同等に課税されます。

※そもそも市街化区域内の農地は固定資産税が大幅に高い

  • 市街化区域内の農地(一般市街化区域農地)⇒農地に準ずる課税 ※概ね農地の数倍
  • 三大都市圏の市街化区域農地(特定市街化区域農地)⇒宅地並み課税 ※概ね農地の数十倍

一方、賃貸住宅や老人ホーム等のような住居系の建物建築による土地活用の場合、土地に掛かる固定資産税は最大1/6、都市計画税は最大1/3になり、建物についても一定の条件を満たすと最大5年間1/2になるという大きな優遇があります。

※住居系の土地活用で固定資産税が大幅に減額

  • 土地 ⇒最大1/6になる(都市計画税も最大1/3になる)
  • 建物 ⇒最大5年間1/2になる

このため、きちんと営農できている場合であれば良いですが、できていない場合には、農地であることの税金的メリットはあまり無く、転用して土地活用した方が固定資産税を安く抑えることができる可能性があります。

収益が上がる

きちんと営農できている農地であれば、そこからの農業収入が入ってきますが、固定資産税が大幅に高い分、市街化区域農地での農業収益は不利になります。

特に三大都市圏の特定市街化区域農地の場合には、農業収益が赤字というケースも多く見られます。

しかしながら、そのような市街地にある農地ほど土地活用による収益を上げやすいというメリットがあり、転用して上手く土地活用することで収益を大幅にアップさせられる可能性もあります。

相続税対策もできる

市街化区域農地は、前述した固定資産税同様、相続税の評価上も宅地並みに評価されるため、高い相続税が発生してしまう可能性があります。

この点に於いても、転用して住居系の土地活用を行うことで、土地と建物の相続税評価額を大幅に下げることが可能です。

※住居系の土地活用で相続税評価額が大幅に減額

  • 土地 ⇒貸家建付地として概ね19~21%減額される(※対象地の指定借地権割合による)
  • 建物 ⇒借家権分として30%減額される(※対象物件の賃貸割合による)

このため、特に相続税対策の観点では、転用して住居系の土地活用を行なった方が有利と言えます。

2-2. 市街化区域農地を転用する主な2つのデメリット

  1. 農地に戻すことは困難
  2. 初期投資が必要

反対に、市街化区域農地を転用することによるデメリットとしては、主に上記の2つが考えられます。

農地に戻すことは困難

市街化区域は行政が都市計画として優先的に市街化したい地域であるため、農地から宅地への転用は届出のみで簡単に行えますが、逆に宅地から農地へ戻すことは困難(ほぼ不可能)です。

三大都市圏の特定市街化農地の場合には、そもそも固定資産税も宅地並み課税であることから農地である税金面でのメリットはありませんが、一般市街化区域農地の場合には、農地に準ずる課税として固定資産税の減免措置があるため慎重に検討する必要があります。

初期投資が必要

土地活用の種類によっては、ただ土地を貸すだけのものや青空駐車場等、初期投資がほとんどかからないものもありますが、基本的にほとんどの土地活用では建物の建築を伴うため、初期投資が必要です。

市街化区域内にある土地であれば、事業計画がしっかりとしてれば、ほとんどの場合で金融機関からの融資により賄うことが可能ですが、この点はデメリットの一つと言えるでしょう。

3. 市街化区域内の農地を転用するための具体的な手続き方法と流れ

市街化区域内の農地転用申請(届出)の流れ
1. 自治体より「農地転用届出書」を入手する
2. 農地転用届出書の記入と必要書類を準備する
3. 提出する
4. 申請内容の審査(不備の確認等)
5. 受理書が交付される(約1週間程度)→転用OK

市街化区域内の農地を転用して活用するためには、管轄自治体の農業委員会へ「農地転用申請(届出)」を行う必要がありますが、上記の流れで簡単に行うことができます。

3-1. 自治体より農地転用届出書を入手する

まずは、対象農地を管轄する自治体より「農地転用届出書」を入手します。

直接役所に出向いても構いませんし、多くの自治体ではホームページより自分でプリントアウトすることもできるようになっています。

農地の権利移動(売買による所有権移転など)や権利設定(賃貸借による賃借権の設定など)を伴うかどうかによって、届出書の種類が異なります。

  • 農地の権利の移動や設定を伴わない場合(農地所有者自らが転用する場合)
     ⇒農地法 第4条第1項第7号の規定による農地転用届出
  • 農地の権利の移動や設定を伴う場合(転用目的の売買や賃貸借の場合)
     ⇒農地法 第5条第1項第6号の規定による農地転用届出

※参考書式イメージ

3-2. 農地転用届出書の記入と必要書類を準備する

前項の農地転用届出書を記入し、必要書類を準備します。

必要書類は自治体よっても異なる可能性はありますが、概ね以下のような書類です。

 
提出が必要な書類
1. 農地転用届出書
2. 届出土地の登記事項証明書(全部事項証明書)
3. 案内図
4. 公図
 
必要に応じて添付する書類  説明
真正な権利者であることを証する書面 登記簿上の所有者が死亡し相続未登記の場合等で、「戸(除)籍謄本」や「遺産分割協議書の写し」等。
開発許可書の写し(農地法第5条による届出のみ) 500平方メートル以上で、その転用行為が都市計画法第29条の開発許可を要する場合には許可書の写し。
届出地が賃貸借されている場合は解約したことを証する書面 農地法第18条の許可書の写し等。(事前に賃貸借契約の解約手続きが必要。)
仮換地証明書(原本) 土地区画整理事業施工中の区域内で、仮換地指定されている土地の場合に必要。
仮換地地図 土地区画整理事業施工中の区域内で、仮換地指定されている土地の場合に必要。

3-3. 提出する

必要書類が全て揃ったら、それらを自治体(役所)の管轄部署(農業委員会)へ提出します。

3-4. 内容審査(不備の確認等)

市街化区域の農地は基本的に届出のみで転用可能であるため、審査と言っても書類の不備がないか等の確認ということになります。

3-5. 受理書が交付される(約1週間)

自治体にもよりますが、提出から概ね1週間程度で受理書が交付され、以降は転用可能となります。

4. 自分に最適な土地活用方法を見極めるための3ステップ

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  • ステップ①|土地活用の目的を明確にする
  • ステップ②|所有地の建築条件を調べる
  • ステップ③|業者に相談し提案内容を比較する

自分に最適な土地活用を見極めるためには、「まずは土地活用をすることで実現したい土地活用の目的を明確にし、その目的に合った土地活用が所有地で可能なのかを事前に調べた上で、具体的な事業企画について適した業者に相談し提案内容を比較する」というのが最も合理的な方法です。

以下、それぞれのステップについて解説していきます。

4-1. ステップ①|土地活用の目的を明確にする

どのような目的で土地活用を検討するかで選ぶべき活用方法が異なってくるため、土地活用の目的を明確にする必要がありますが、逆にいうと、土地活用の目的が明確であれば活用方法の選択肢はそれほど多くないといえます。

土地活用の目的としては概ね以下のような5つの目的がありますが、ご自身の中で優先度の高い目的を検討してみてください。

  • 相続対策(分割対策、相続税の節税)
  • 節税対策(所得税、固定資産税・都市計画税等の節税)
  • 土地承継(代々土地を残していきたい)
  • 投資(資産運用・資産組み換え)
  • 老後の安定収入確保

上記の目的別に適した土地活用方法は以下のようになります。

 タイプ 種類 相続対策 節税対策 土地承継 投資 安定収入
売る 売却 × × × ×
貸す 定期借地
自己活用 駐車場経営 × ×
賃貸住宅経営 賃貸アパート経営
賃貸マンション経営
トランクルーム経営 × ×
ソーラー(太陽光発電) × ×
オフィス経営 × ×
商業系施設経営 コンビニ × ×
ロードサイド × ×
医療系施設経営 クリニック × ×
介護系施設経営 老人ホーム
サ高住
デイサービス・ショートステイ・小規模多機能 × ×
グループホーム × ×
共同活用 等価交換 ×
土地信託

上図からも分かる通り、活用方法によって目的の実現効果が大きく変わってくるため、まずは何を一番の目的とするかを明確にするようにしましょう。

4-2. ステップ②|所有地の建築条件を調べる

土地は法律や行政指導等によって様々な規制を受けるため、たとえ自分の土地であっても好き勝手に建物を建築することはできません。

そのため、ステップ①で土地活用の目的とそれに適した土地活用方法の選択肢が明確になったら、次に所有地の建築条件を調べ、そもそも法規的に所有地で目的に合った土地活用が可能かどうかを確認する必要があります。

その際に重要になるのが、都市計画法により指定されている「用途地域」は何かということです。

従って、自分の土地がどのような地域に位置しており、どんな建物が建築可能なのかをを役所で調べるようにしましょう。

参考:

役所によって名称は異なりますが、大概「都市計画課」という名称の部署があり、そこで聞くと直ぐに教えてもらえます。

役所によっては電話で対応してもらえるところも多いですし、ネットで「都市計画図」を公開している行政もありますので、直接役所に電話して「自分の土地の用途地域は?〇〇の建築は可能か?」と聞いてしまうのが最も簡単で早い方法です。

用途地域を確認することで法規上建築可能な建物を判断することができます。その際の早見表を以下に記載しておきますので、ご参考にしてください。

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(出典:甲府市ホームページより)

用途制限以外にも、建ぺい率や容積率の制限等により建築可能な建物の大きさが制限されており、土地活用方法によっては大きさが見合わず事業化ができない等の場合もありますが、それは業者によっても対応可能な大きさや範囲が異なることから、次ステップで業者に提案してもらう中で判断する方が賢明です。

4-3. ステップ③|業者に相談し提案内容を比較する

土地活用を生業としている業者は数多くありますが、それぞれ得意とする土地活用の種類は異なっています。

そのため、下手に相談をしてしまうと、無理に自社が得意な活用法を勧められてしまい最適な土地活用が検討できない可能性があるため注意が必要です。

また、土地活用における業者選定基準には企画提案力・コスト等様々な要素がありますが、自身に専門的な知識や知見がない初心者には、コストよりも、企画〜建築・管理までトータルで任せられる信頼度の高い大手の業者がおすすめです。

既に土地活用の経験が豊富で、自身でもある程度の企画や管理ができる知見のある方は地場業者の中で信頼できるコストの安い業者を探すとよいでしょう。

最も簡単で便利な方法として一括資料請求サービスの活用がおすすめ

一括資料請求サービスを活用すると、相談者の「住所」や「建築地」「相談内容」などをもとに最適な専門部署に繋いでもらえます

また、一度に複数社にまとめて依頼できるので、手間を掛けずに多くの業者を比較することができます

土地活用の一括資料請求サービスを行っている会社は10社以上ありますが、私が対応エリアや対応種類、参加企業・実績等の観点で、いろいろと比較した上では、スマイスター』が最もおすすめです。

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まずは一括資料請求して事前情報収集した後に、気になる業者に本格的に相談するとよいでしょう。

スマイスターには、不動産売却など土地活用以外にも色々なサービスがありますので、下記の土地活用専用の公式ページから一括請求するとよいです。

スマイスター:http://www.sumaistar.com

5. 土地活用を業者に相談する際の2つの注意点

土地活用を業者に相談する際には、必ず以下の2つの注意点を守るようにしましょう。

  • 土地活用専門の担当者(部署)に依頼する
  • 複数の業者を比較した上で条件交渉する

5-1. 土地活用専門の担当者(部署)に依頼する

規模の大きなハウスメーカー等では、戸建住宅をメインに扱う担当者・部署と土地活用をメインに扱う担当者・部署の大きく2種類が存在しますが、当然のことながら土地活用については土地活用をメインに扱う担当に依頼するべきです。

しかしながら、基本的に建築会社では最初にコンタクトを取った営業マンが担当となるケースが多いため、中には戸建住宅メインの担当が土地活用の提案を行うということも多くあり得ます

そのため、より良い提案をしてもらうためにも、むやみに住宅展示場等の営業マンに相談するのではなく、土地活用を専門に扱う部署へ直接問い合わせることをおすすめします。

5-2. 複数の業者を比較した上で条件交渉する

当然のことながら、同じ土地であっても業者や担当者によって提案内容や条件に大きな差が出てきます。

プランや構造等、無限に提案の余地のある土地活用に於いて、すべての可能性を検討するのは不可能ですが、後悔することのないように可能な限り少しでも多くの業者を比較検討した上で、しっかりと条件交渉するようにしましょう。

上記2点に照らしても、やはり一度に複数の業者の最適な部署に繋いでもらえる一括資料請求サービスの活用がおすすめです。

6. まとめ

いかがでしたでしょうか。

「市街化区域農地の転用」についての疑問や悩みが解消できたのではないでしょうか。

市街化区域農地の転用は比較的簡単にできますので、農業を継続されない場合や、高い固定資産税をなんとかしたいといった場合には、積極的に活用して収益を生み出す方法を検討するのが得策だと思います。

本ページでは「市街化区域農地の転用方法と最適な土地活用の見極め方」について、重要なポイントは出来る限り網羅的にご紹介してきましたので、上記の内容をしっかりと理解した上で行えば、きっと後悔しない土地活用ができるでしょう。

ご自身のニーズに合わせて、最適な活用方法を比較検討してみて下さい。

土地活用は、後からの計画の変更が難しいため、時間をかけてじっくりと最適な方法を検討するべきです。

将来的なニーズのある人は、スマイスターなどの一括資料請求サービスを利用しながら、早めにまずは事前情報収集から検討を始められることをおすすめします。

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