賃貸住宅を自宅兼事務所にする全知識|業態別にフローチャートで解説!

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自宅兼事務所を検討するときに「今住んでる自宅を事務所できる?」「家賃って経費になるの?」などとお考えではありませんか?

賃貸の場合は物件ごとに契約内容が異なるため、「契約違反な使用をしてしまう」「無駄な引越しをする」など失敗する方を数多く見てきました。

このページでは、不動産会社で、自宅兼事務所を専門に紹介してきた筆者が、自身の経験をもとに本当の正しい使い方をまとめています。

  1. 賃貸の住まいを自宅兼事務所として使用できる人・できない人
  2. 分類:A|今住んでる物件を自宅兼事務所にする
  3. 分類:B|自宅兼事務所としての利用をオーナーへ相談する
  4. 分類:C|新たな物件で自宅兼事務所を検討する

全て読めば、あなたの自宅兼事務所に対する悩みが全て解決し、失敗することなくあなたに合った物件の利用・選択ができるでしょう。

1.賃貸の住まいを自宅兼事務所として使用できる人・できない人

結論から言いますと、個人事業主の方であれば大半の方が賃貸の物件を問題なく事務所として使用できます。

個人事業主でなくても、オーナーに相談することによって許可をもらえることもあるので、詳しくお伝えしていきます。

1-1.まずは自身の業務形態をチェックしてみましょう

まずは自宅兼事務所を検討するとき、どのような使い方になるのか想像しながら下の表と照らし合わせて、あなたがA・B・Cどの分類か確認してみてください。

今の住居を使えるかのフローチャート

1-2.3つの分類別!今の賃貸住宅を自宅兼事務所にできる?

下記のように、それぞれの業種に合わせて対策をしていきましょう。

Aに当てはまる方→今住んでる賃貸物件を自宅兼事務所にできます!

来客もなく社名などをポストや表札に掲示する必要がない方は、今の賃貸の住居をそのまま使えます。

ただし、注意点もありますので「2. 分類:A|今住んでる物件を自宅兼事務所にする」をチェックしておきましょう。

Bに当てはまる方→自宅兼事務所としての利用をオーナーへ相談しましょう!

相談する内容や、オーナーの不安要素を取り除くポイントなど詳しく解説します。

リスクはありますが、黙って使用するときの方法や契約形態の違いに関しても紹介しますので、「3. 分類:B|自宅兼事務所としての利用をオーナーへ相談する」を必ず確認しましょう。

Cに当てはまる方→原則NG。新たな物件で自宅兼事務所を検討しましょう!

新たに引越しを検討する必要がありますので、物件を探すときのコツやオススメの検索サイトまで、「4. 分類:C|新たな物件で自宅兼事務所を検討する」で全てお伝えします。

2.分類:A|今住んでる物件を自宅兼事務所にする

Aの方は、新たにオフィスを借りたり別物件に引っ越す必要はなく現在の賃貸の住まいを自宅兼事務所として使用することができます。

主に個人事業主や副業として仕事をしている方がメインとなり、住居専用の物件でも問題なく使用できます。

国土交通省は住居用マンションの定義として、以下の通りに定めています。

住宅としての使用は、専ら居住者の生活の本拠があるか否かによって判断する。したがって利用方法は、生活の本拠であるために必要な平穏さを有することを要する。

引用:国土交通省マンション標準管理規約(単棟型)

わかりやすく解説すると、以下の3点が満たされていれば事務所としての利用があっても、住居として認められます。

住居として認められる条件

  • 住民票を登録する
  • 生活する家具やスペースが確保されている
  • 他の入居者へ迷惑をかけず、静かに作業する

2-1. オーナーへ申請する必要はない

むしろAの方は、オーナーに申請しない方が良いです。

事務所と聞くだけで退去を迫ってくるオーナーもいるぐらいです。

近隣にも迷惑をかけることはないので、今までと変わらずに使用しましょう。

法人登記をしたいときも平気?

Aの仕事内容でしたら、法人登記をしても問題ないでしょう。

また、オーナーに知られる確率も限りなく低いです。

なぜなら、登記を確認をするには、役所へ行き所定の手数料を支払う必要があるため、オーナーも事細かくチェックすることは滅多にないからです。

2-2. 今の家を事務所にすれば節税効果も期待できる

自宅兼事務所にすることで、家賃や電気代・通信費などを生活と事業用に分け、事業用の利用分に関しては必要経費として申請できます。

家賃の目安

室内の何%をオフィス部分として使用しているかをもとに経費計上します。

仮に、家賃20万円で70平米のうち35平米をオフィスとして使用していれば、50%の10万円が経費計上できます。

しかし、明らかなプライベート部分も含めてしまうと税務調査で認められないこともあるので、注意が必要です。

電気代の目安

電気代は仕事で使った時間と消費電力をもとに事業での利用分を経費計上します。

仮に、電気代の年間使用料が20万円だった場合、一般的には約30%の割合で経費計上ができますので、約6万円が必要経費となります。

通信費の目安

インターネット代をメインに考え、こちらも仕事で使用した時間をもとに事業での利用分を経費計上します。

仮に年間6万円の場合、仕事とプライベート半々で使用しているときは、3万円が必要経費として計上できます。

2-3.使用上の注意点

国交省のマンション規約通り、近隣からクレームが入った場合は住居とは認められないので、とにかく近隣には配慮したうえで使用しましょう。

静かに作業していても、数多くの宅急便が届くなど、近隣から怪しまれるような職種は注意が必要です。

2-4.念のため確認する項目

リスクを減らしたい方は、賃貸借契約書の「禁止又は制限される行為」を事前に確認しましょう。

「法人登記を禁止」には要注意

この文面が入っている場合は法人登記が禁止されているので、今後法人化を検討している方は注意が必要です。

先ほども申し上げた通り、滅多にバレることはないので、あまり気にする必要はないですが、バレた際は、退去を迫られる場合があります。

リスクがゼロでないことを認識して使いましょう。

最悪登記はバーチャルオフィスなどで

リスクをなくしたい方は、登記だけをバーチャルオフィスで行なうのも一つの手段です。

バーチャルオフィスとは登記用の住所だけを借りられるサービスで、中で働くことはできませんが、低価格で利用でき、郵便も転送してもらえます。「レンタルオフィス.com」など専門のサイトで探せます。

「事業用として使用することは禁止」は無視してOK!

一見すると事務所の使用が禁止と思われますが、Aの方の使用方法であればこの文面は入っていても問題ないです。

あくまでも住居をメインとして使用しているので、事業用とは解釈されません。

3.分類:B|自宅兼事務所としての利用をオーナーへ相談する

Bの方は、オーナー(貸主)に相談し承諾をもらうことが1番理想的ですが、非常にハードルが高いです。

なぜかと言うと、「事務所」というキーワードが入るだけで毛嫌いされてしまうからです。

そのため、オーナーに相談するときは相談の方法に注意が必要です。

3-1.オーナーからOKをもらうためのポイント

基本的にオーナーは事務所として使用されることを好ましく思っていません。

なぜなら、大きく分けて下記の2点を懸念しているからです。

  • 懸念点① 社名表示で不特定多数の出入りが増えそう
  • 懸念点② 法人登記をされると税金が高くなりそう

この2つのポイントを事前に理解し、オーナーへ説明できるようにしましょう。

懸念点① 社名表示で不特定多数の出入りが増えそう

不特定多数の来客がないのであれば、社名表示は来客用のアナウンスではなく、郵便物が届くためだけに表示させてもらいたい意向を伝えます。

また、社名だけでなく個人名も併せて表示することを条件に打診しましょう。

郵便ポストの表示イメージ図

懸念点② 法人登記をされると税金が高くなりそう

相談時、オーナーはポストに社名を出す=登記をされて税金が上がりそうという懸念をします。

一般的に賃貸物件は、「住所契約」「事務所契約」のどちらかになりますが、事務所契約になると下記のようにオーナーの税金が高くなります。

住居契約事務所契約
消費税非課税課税
固定資産税変わらない高くなる

ここを懸念して、法人登記などに対してNGを出すオーナーが多数います。

ただし、あくまでも「住居契約のままで法人登記をするのであれば、オーナーが負担する税金は変わらない」ということを理解しておきましょう。

そのため、「ポストに社名は出したいor法人登記したいが、住居契約のままで大丈夫」「ポストに社名/屋号を出すが登記はしない」ということを強調してオーナーに相談しましょう。

最近では住居契約のまま事務所を設ける「SOHO」も一般的になっていて、「住居契約のままSOHOとして使いたい」と説明すれば理解を得られることも多いです。

SOHOとは

「Small Office/Home Office」の略称で、自宅兼事務所のことを指すことが多いです。

3-2.相談して承諾をもらえなかった場合

相談してもOKがもらえなかった場合、オーナーの懸念点に合わせて、下記のポイントをオーナーに伝えて、納得してもらいましょう。

  • 「ポストの社名表記を諦めます」
  • 「登記だけはバーチャルオフィスでします」

この辺りをしっかり伝えて納得してもらわないと、その後も目をつけられ、事業をしにくくなります。

ポストの社名表記を諦める

社名表示は必ずしも必要とは限らないので、なぜ社名表示が必要なのか考え、不要であれば社名表記を諦め、大家にも伝えましょう。

  • 事務所だからとりあえず社名を出したい
  • 会社宛ての郵便物を届くようにしたい

大きく分けてこの2つが考えられますが、来客がない方で社名表示が必要な方は、ほとんどいないはずです

事務所だからとりあえず社名を出したい

起業時は誰もが考えることですが、来客がないのであれば出す必要はありません。

まずは社名を出さずに営業をして、何か困ることがあった時に、他の選択肢を検討しましょう。

会社宛ての郵便物を届くようにしたい

ポストに社名表示をしないで郵便物を届くようにするには、以下の方法を検討しましょう。

  • 郵便局の窓口で会社宛の書類も投函される手続きをする
  • 郵便局の私書箱を使う

手続きしなくても届くことが多いですが、念のため、郵便局で手続きをしましょう。

登記だけはバーチャルオフィスで行う

登記を懸念しているオーナーであれば、「登記はバーチャルオフィスで行う」と伝えれば納得してもらえる可能性があります。

バーチャルオフィスとは登記用の住所だけを借りられるサービスで、中で働くことはできませんが、低価格で利用でき、郵便も転送してもらえます。「レンタルオフィス.com」など専門のサイトで探せます。

ただし、過去には詐欺グループに利用されていたことが多く、銀行の口座開設の審査が厳しくなっていますので、起業したての方などは注意しましょう。

バーチャルオフィスがイマイチだと思った方

口座の開設がネック、しっかりとした場所で登記をしたいという方は、自宅兼事務所可の物件を新しく探すか、シェアオフィス・レンタルオフィスを使いましょう。

  • シェアオフィスとは:固定のスペースはなくフリーアドレスの仕事場になるが、低価格で使える。
  • レンタルオフィスとは:内装などが完備された個室のオフィス。小規模で低価格の物件も多い。

会議室なども完備されている物件が多く、急な来客でも恥ずかしくはありません。「eシェアオフィス」などの専門サイトで探せます。

3-3.相談が難しそうであれば、こっそり使うのも可

上記の観点で相談しても、柔軟な対応をしてくれるオーナーでなければOKをもらえないどころか、逆に目をつけられて事業をしにくくなる可能性があります。

難しそうなオーナーの場合は、相談すらせずに、あくまでも自己責任でこっそり使うのもありです。

ポストなどに社名を出すと確実に事務所だとバレますが、社名表示の理由をもう一度考え、不要ならばバレずに自宅兼事務所として使えます。

3-4.黙って使用した場合でも、オーナーの税負担は変わらない

黙って利用したら、税金面などでオーナーに迷惑がかかるのでは?と考える方もいるかもしれませんが、迷惑はかかりません。

例えば、国税庁は事務所としての承諾をもらっていない場合でも、消費税は発生しないと発表しています。

【照会要旨】

住宅として借りた建物を賃貸人の承諾を得ずに事業用に使用した場合の消費税の取扱いはどうなるのでしょうか。

【回答要旨】

賃貸借に係る契約において住宅として借り受けていた建物を、賃借人が賃貸人との契約変更を行わずに事業用に使用したとしても、当該建物の貸借料は課税仕入れには該当しません。※契約変更:住居契約→事務所契約

引用:用途変更の取扱い|消費税目次一覧|国税庁

要約すると、黙って使用した場合、オーナーも借りる人も消費税はかからないので、誰にもデメリットがないことになります。

国税庁は「住居用で貸していたが、借りる人が勝手に事務所として使用していた」という言い訳を了承してくれるのです。

虚偽ではないので違法ではない

黙って使用するだけなので違法とはなりません。

しかし、賃貸の場合はオーナーが権力を握っているので、発覚した場合は退去を覚悟して自己責任で使いましょう。

その他、自宅兼事務所ということが近隣住民にもバレないように、騒音などに注意して使いましょう。

4.分類:C|新たな物件で自宅兼事務所を検討する

Cの方は事務所利用可能な物件へ移転する必要があります。

完全な事務所に近いので、住居用物件では契約違反になる可能性が高いです。

しかし、一般的なオフィスを借りる必要はありません。

賃貸物件には自宅兼事務所として利用できるマンションが数多くあるので、詳しく説明します。

4-1.どんな物件を選ぶか

物件を探ときは、下記のキーワードを検索条件に入れて探しましょう。

  • SOHO可能
  • 事務所利用可能

検索サイトなどには「自宅兼事務所」のキーワードが少ないため、上記のキーワードをうまく活用して探しましょう。

SOHOとは

「Small Office/Home Office」の略称で、自宅兼事務所のことを指すことが多いです。

4-2.良い物件を探す最大のポイント

SOHOについて詳しい人(会社)に任せることです。

一般の不動産会社では多く扱っていないジャンルの物件なので、専門的な知識が必要となります。

また、「事務所利用はOKなのに法人登記はNG」など、物件によって異なる条件をしっかりと把握していることも大きな理由です。

2社以上の不動産会社の人に会う

複数の担当者に会い、「この物件は登記ができるのか、事務所利用OKか」など、疑問や質問をぶつけてみましょう。

しっかりと、理由含め明確に答えてくれるかなど、回答を踏まえてSOHOの知識が豊富そうな担当者にお願いしましょう。

こんな人には要注意!

逆に、下記のような担当者は、知識が少なかったりその後の対応が悪い可能性があるので、注意しましょう。

  • 「登記はダメです」だけの回答で、理由を教えてくれない
  • 「調べておきます」と回答を先延ばしにする

SOHOの場合、会うまでの手間は少ない

SOHOの場合、下記のように物件を自分で検索し、現地で待ち合わせることが多いので、複数の不動産会社に会うことは簡単にできます。

住宅とSOHOの契約までのイメージ図

同じエリアで2.3件の内覧を予約すれば、2時間ほどで複数人に会うことも可能です。

できる限り無駄な時間をかけないように、物件探しのサイトから良い会社を選びましょう。

4-3.おすすめのSOHOサイト4選

SOHOを扱う不動産会社も増えてきましたが、下記の観点でおすすめのSOHO検索サイトを紹介します。

  • SOHOの物件数が多い
  • SOHO専門サイト(ページ)で、探しやすい
サイト名エリアSOHO掲載物件数
goodroom関東・関西・福岡・札幌6600件~
空間建築ファクトリー東京・神奈川1300件~
R不動産関東・関西・九州・東北1000件~
at home全国10000件~

上記のホームページから物件を探し、問い合わせや内覧の申し込みができます。

しかし、担当者は1社につき原則1名しか会えないので、1社に1物件ずつお願いすることをおすすめします。

例えば、空間建築ファクトリーで2物件内覧を申し込んでも、1人の担当者としか会えません。

2物件の場合は、1件ずつ会社を変えて内覧の申し込みをしましょう。

内覧申し込みの振り分け方法イメージ

サイトごとの特徴

上記4サイトの特徴をまとめましたので、2つ以上使ってみましょう。

SOHOの物件数が多い「goodroom」

goodroom」にはデザイナーズ物件やお洒落な1ROOMなど、女性からも人気のある物件が数多く掲載されています。

他社では借りることのできない、自社リノベーション物件もありますので、特におしゃれな物件を探したい方は、是非チェックしてみましょう。

希望に合う物件を紹介してくれる「空間建築ファクトリー」

空間建築ファクトリー」は東京・神奈川中心となりますが、築浅で綺麗なSOHO物件を中心に掲載しています。

また、SOHOをメインで扱っている会社なので、SOHOに詳しい担当者に当たる可能性が高いです。

厳選したSOHO物件が掲載されている「R不動産」

R不動産」では他社のサイトには出ていないような、個性的なSOHO物件を厳選して掲載しています。

新築・築浅物件は少なく、リノベーション物件・ヴィンテージ物件が中心となりますので、他と差が出る物件を探している人はチェックしてみましょう。

SOHO専門サイト(ページ)で、探しやすい「at home」

at home」は大手ポータルサイトの1つで、SOHO専用のページがあり、全国のSOHO物件を探すことができます。

上記3社と違い、他の不動産会社が自分の会社で扱える物件情報をどんどん書き込んでいます。希望の物件が見つかったら自分で内覧をお願いする会社を選択できますので、選択肢が広がります。

地方の方は必ずチェックしましょう。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか。

賃貸でも自宅兼事務所にするには自身の使用用途によって異なりますので、今一度確認してみてください。

今の住居を使えるかのフローチャート

これから独立を考えている方にとってはコスト面も大幅にカットできるので、是非自宅を事務所として有効活用してください。

あなたの生活と仕事のリズムが、今以上に良くなることを陰ながら願っています。

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