賃貸の管理費とはどんな役割のお金?共益費との違いや安くする交渉術まで

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管理費のイメージ

「賃貸の管理費ってなに?」「管理費は毎月払うもの?」など、賃貸の管理費に関して疑問に思っていませんか?

賃貸物件の管理費は、言葉どおり”建物を管理するためのお金”です。賃料と一緒に毎月払う必要があり、余計な費用と思われがちですが、実はメリットもあります。

このページでは、大手不動産会社に5年勤務し、現在も賃貸部門で働く筆者が以下の流れで管理費についてご紹介します。

  1. 管理費とは何のために必要なお金なのか
  2. 管理費は借りる人にとってメリットがあるお金?
  3. 賃料・その他費用を1円でも安くする交渉方法

すべて読めば、賃貸の管理費とはどんなお金なのかから、最も得する家賃の交渉方法まで把握できるでしょう。

1. 管理費とは何のために必要なお金なのか

賃貸物件の管理費は、”建物を管理するためのお金”です。

ただ、物件ごとに用途や定義が変わるので、管理費は賃料の一部と考えたほうがわかりやすいです。

この章では、賃料と管理費が分けられている理由や相場など、管理費について詳しく解説して行きます。

1-1. 賃料と管理費を分けることで借り手が見つかりやすくなる

賃料と管理費を分ける大きな理由は、検索条件にヒットされやすくするためです。

賃貸物件をネットで検索するとき「賃料:7万円〜9万円」のように条件を絞り込んで検索しますが、当然賃料10万円の物件はヒットしません。

そこで、賃料を9万円にして管理費を1万円にすれば、9万円の物件として検索ページにヒットされるわけです。

管理費0円の物件もある

募集物件の中には管理費0円の物件も数多くあります。その場合「管理されてない物件なの?」と思いますが、そんなことはありません。

賃料10万円・管理費0円の場合、貸主自身が10万円の中からやりくりしていることになります。つまり、管理費を1万円にするか0円にするかは貸主の自由です。

1-2. 管理費の相場は賃料の5~10%

一般的な管理費の相場は賃料の5~10%で、エレベーターがついていたり24時間ゴミ出しできる物件だと、7~12%程度です。

また、部屋の大きさによって金額が異なることも多く、小さい部屋の方が管理費は安くなる傾向があります。例えば、1Rは8千円、1LDKは1万円などです。

1-3. 管理費が高いときは値下げ交渉できるの?

管理費を値下げ交渉することは可能ですが、冒頭でも伝えたとおり管理費は賃料の一部なので、賃料と管理費の合計額を値下げしてもらえるように交渉するのが理想です。

ただ、毎月の賃料は貸主の収入源としてシビアに考えているため、簡単には値下げすることができません。

そのため、賃料以外の項目もうまく値下げ交渉すれば賃料1ヶ月分以上得することもあるので、具体的な方法を3章で解説していきます。

マンションの管理具合を指摘するのはやめましょう

電球切れや掃除など、マンションの管理が行き届いてない物件の場合、指摘して管理費を値下げしてもらうことをおすすめしてるネット記事もありますが、絶対にやめましょう。

理由は、貸主からすると”余計なお世話”と思われることに加え面倒な入居者になりそうと判断され、入居自体を断られる可能性があるからです。

貸主の財産である不動産に対して「建物が汚いから安くしてくれ」なんて言ってくる人に貸したいと思う人はいないでしょう。

1-4. 管理費と共益費のちがい

共益費という言葉で金額が設定されている物件も多々ありますが、賃貸の場合内容はほぼ同じです。

管理費・建物を維持管理するために必要な費用。
共益費・共用部分の電気代・清掃費用・水道代など共用部分の維持管理に必要な費用。

上記のとおり、管理費はざっくりとした表現で使いやすいため「管理費」で表記されることの方が多いです。

共益費は具体的な用途が決まっているので、ジムやラウンジが付いてる高級マンションで使われることが多い傾向にあります。

2. 管理費は借りる人にとってメリットがあるお金?

賃料とは別に管理費がある物件は契約するときの初期費用が安くなるので、借りる人にとってメリットがあります。

逆に、賃料に管理費が含まれている場合、借りる人の費用負担が増えます。

その理由を項目ごとに詳しく解説していきます。

2-1. 敷金・礼金に管理費は含まれない

どの物件でも必要な敷金と礼金ですが、管理費はどちらの項目にも含まれません。敷金と礼金は「賃料○ヶ月」と”賃料”だけで計算されます。

そのため、管理費が設定される代わりに、賃料が安い物件の方が敷金・礼金は安くなります。

以下の表は、どちらも合計賃料が10万円で、管理費1万円と0円の物件を比較したものです。

賃料9万円|管理費1万円賃料10万円|管理費0円
敷金2ヶ月18万円20万円
礼金1ヶ月9万円10万円
初期費用合計27万円30万円

上記のとおり、一般的に多い「敷金2ヶ月礼金1ヶ月」の条件でも3万円も差が出ることになります。

2-2. 仲介手数料にも含まれない

敷金と礼金同様に、契約を手伝ってくれた仲介会社に報酬として支払う仲介手数料も”賃料”だけで計算されます。

また、敷金・礼金と異なる点は仲介手数料に消費税が加算されるということです。

こちらも先ほどと同様に表で比較すると、管理費があっても賃料が安い物件の方が初期費用は安くなります。

賃料9万円|管理費1万円賃料10万円|管理費0円
仲介手数料1ヶ月9.9万円11万円
差額1.1万円

2-3. 更新料にも含まれない

一般的に2年が多い契約期間ですが、2年ごとにかかる更新料も”賃料”だけで計算されます。

このとき注意しておきたいことが、更新料は”新賃料1ヶ月分”と決められていることです。

稀にあるケースが、「賃料9万円/管理費1万円」だった契約を、「賃料10万円/管理費0円」に変更されることです。合計額は変わらないですが、更新料は1万円高くなってしまいます。

この場合は指摘してみましょう

なぜ管理費を組み込む必要があるのか、正当な理由はあるのか確認してみましょう。

貸主の意思決定に逆らえないこともありますが、大事なお金のことなので確認することが大切です。

対抗策として、賃料9万円でないと会社からの家賃補助が適用されないので、今までどおりの契約条件で更新させて欲しいと願い出るのもひとつの策です。

3. 賃料・その他費用を1円でも安くする交渉方法

繰り返しになりますが、賃料はそう簡単に値下げには応じてくれないので、その他の費用も合わせてうまく交渉することがおすすめです。

そこで、賃貸でかかる費用のうち、安くできる可能性があるのは以下7つなので、項目別に交渉方法を事前に確認しておきましょう。

賃貸の交渉可能な費用

まずは、物件情報などに書かれている項目の、下記の中から一つを選んで交渉してみましょう。

  • ①礼金(礼金が入っている場合)
  • ②仲介手数料(仲介手数料がかかる場合)
  • ③フリーレント(フリーレントが入っていない場合)
  • ④家賃(最後の手段)

交渉の成功度、削減額を踏まえ、上から優先的に交渉をするのがおすすめです。

上記に関しては、あまりに交渉が続くと貸主への印象が悪いので、できれば1項目、多くても2項目までにしておきましょう。

そして、具体的に契約のタイミングでは請求書をしっかり確認し、下記の観点が入っていれば交渉の余地がさらにあります。

  • ⑤火災保険料
  • ⑥鍵交換費用
  • ⑦入居安心サポート・消臭消毒オプション

それぞれどうやって交渉すればいいかを解説していきます。

私の経験上、交渉がうまくいった人は、トータルで家賃1ヶ月分以上、安くすることに成功しているので、できる範囲で交渉した方がいいです。

ただし、マナーとして申し込みをするタイミングで、不動産会社に交渉するようにしましょう。審査後に値引きしてくれと言うと貸主の印象も悪く、入居を断られることもあります。

①. 礼金

礼金は削りやすく、インパクトも大きいので礼金がかかる場合は最優先で交渉しましょう。

礼金の場合は貸主にも見返りがあるような交渉が望ましいので、以下のように、早く解約したら違約金を払うことを前提に交渉してみましょう。

有効な交渉方法

短期違約金を条件に入れて、1年以内の解約は賃料1ヶ月分を違約金として支払うので、礼金を0にしてください」

この条件で交渉すれば、ただ単に礼金を0にしてと言っているわけではないので、悪い気はされないでしょう。

期間は長い方が確率は上がる

少なくとも2年以上住むことが決まっている方であれば、1年以内ではなく2年以内に期間を延ばすことで、より交渉が成功する確率が高くなります。

そして、貸主も「この人は長く住んでくれそう」と思われることもあるので、お互いに良い関係が築けるかもしれません。

他社の情報も確認してみる

礼金は不動産会社が自由に決められることもあるので「SUUMO」や「HOME’S」で希望の物件情報を確かめてみましょう。

A社では礼金1ヶ月、B社では礼金0ということもよくあります。

もし他社で礼金が0のときは不動産会社に「他社が礼金0で募集してるので、御社も同じ条件にしてください」と伝えてみましょう。

②. 仲介手数料

仲介手数料も比較的交渉しやすく、無料にできることも多いので、かかるようであれば交渉しましょう。

この際、2社〜3社に見積もりをとって最安の金額を不動産会社の担当者に伝えましょう。

こちらも「SUUMO」や「HOME’S」で希望物件を取り扱っている不動産会社を探して「初期費用をメールで送ってください」と伝えます。

そして、仲介手数料の金額を確認して「C社は仲介手数料無料で契約できると言ってるのですが、御社はどうですか?」と確認してみましょう。

物件名をインターネットで検索する

最近では、物件名を検索するだけで「●●マンション|仲介手数料無料」と、たくさん出てくるので、内覧前の段階の人は仲介手数料が安い会社から問い合わせるのもアリです。

③. フリーレント

フリーレントとは、決められた日数分の家賃が無料になることで、取得できる平均値は0.5ヶ月〜1ヶ月です。

インパクトも少なくはなく、毎月の家賃よりは交渉しやすいため、つけてくれるように頼みましょう。

実際に交渉するときは、下記のように交渉してみましょう。

有効な交渉方法

審査承認後、すぐに契約と契約金の支払いを済ませることを条件に、フリーレント1ヶ月を付けてくれませんか?

このように交渉すれば、貸主もキャンセルの可能性は低いと思ってくれるので、交渉が成功しやすくなります。

そして、フリーレントは不動産業の閑散期にあたる「4月~12月」につきやすいです。

理由は、4月~12月は引越しする人が少ない時期なので、空き部屋が多くなり、貸主も入居者募集に苦労しているからです。

④. 家賃

難易度は非常に高いものの、初期費用も毎月の費用も安くできるのが家賃です。

他の交渉に失敗した場合や、安くする余地がない場合はダメ元で交渉しましょう。

貸主には「今すぐにでも契約する意思がある」と伝えることがなによりも大切で、私の経験上、下記のワードが有効的に使えます。

家賃交渉で使えるワード

  • 会社の決まりで、家賃が●●万円を切れば週末にでも契約することができる。
  • 別の物件と迷ってるが、こっちがあと●●円安くなるならこっちに決めたい。
  • 今週中に決める必要があって、契約金もすぐに支払える。

太文字で表したワードを使うことで貸主は「いつ来るかわからない他の入居希望者を待つより、この人で決めた方がいいか」と思う確率が高くなります。

入居者が決まれば貸主には毎月の家賃収入が入りますが、値引きを断ったことで仮にそこから2ヶ月間部屋が埋まらないと、相当な痛手になるのです。

交渉する金額の目安

私の経験上、家賃に対してあまりにも大きい金額を交渉することは危険です。

なぜなら、貸主から常識がないと判断され入居を断られてしまう恐れがあるからです。

そのため、下記の金額を目安に交渉してみましょう。

物件の家賃:交渉金額

  • 30,000円〜70,000円:1,000円〜3,000円
  • 70,000円〜100,000円:2,000円〜5,000円
  • 100,000円〜150,000円:3,000円〜7,000円
  • 150,000円〜200,000円:4,000円〜10,000円

⑤. 火災保険料

賃貸物件の火災保険は加入が必須ですが、貸主が指定する保険会社に加入する義務はありません。

なので「自分で探して契約したいから、最低限の保証プランを教えてください」と、不動産会社に伝えましょう。

そして、教えてもらったプランを火災保険の会社に伝えればすぐに見合うプランを出してくれるので、あとは申し込みするだけです。

相場より安い火災保険会社

全労済」か「楽天損保」の火災保険が相場より半額近く安いので、不動産会社にここの会社で加入を希望すると伝えましょう。

契約完了したら保険証券が発行されるので、できる限り入居開始前までに提出することが望ましいです。

⑥. 鍵交換費用

鍵交換費用は貸主が支払うことが妥当と国が定めてるので、原則は貸主の管理業務のひとつです。

国交省ガイドラインには下記の通り記載されています。※21ページ記載

鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合) (考え方)入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当と考えられる。

上記のことから、貸主に費用を負担してもらうために、不動産会社の担当者へ下記のように伝えてみましょう。

「ガイドラインを確認したところ、鍵交換費用は貸主が負担することが妥当となっていたので、貸主に負担して頂きたいです。」

私の経験上、「鍵交換費用を渋って契約がなしになるぐらいなら、貸主が負担する」となったケースが比較的多いです。

礼金を払うときは必ず交渉する

礼金を払う物件なら了承してくれる確率も高くなり、必ず交渉することが望ましいので、下記のように伝えてみましょう。

「ガイドラインを確認したところ、鍵交換費用は貸主が負担することが妥当となっていました。今回は礼金も支払うので、礼金の一部から費用を負担して頂きたいです。」

ただ、ガイドラインも「妥当」という曖昧な表現を使っていることから、負担してくれるかは貸主次第となるため、負担してくれたらラッキーぐらいの感覚で臨みましょう。

⑦. 入居サポート・消臭消毒オプション

大手不動産会社によくあるサービスですが、契約書に加入することが必須と明記されていない場合、加入するかは任意なので、担当者に必要ないと伝えましょう。

入居サポートはトラブルの際に24時間対応してくれるサービスで「2年間:1.5万円~2万円」を支払いますが、ほとんど役に立ちません。

ケース例として、水道トラブルのときは提携してる業者を手配してくれますが、作業に伴う部品代などの費用はすべて自費となり、入居サポートは一切負担してくれません。

つまり、入居サポートは提携してる業者を手配するだけです。自分で業者を手配したほうが安く済むケースもあるので、無駄と感じるオプションサービスと言えます。

消臭消毒オプションについて

このオプションは、2018年に問題となったアパマンショップを例に出すと、「消臭・抗菌代」として1万円~2万円を支払い契約し、室内にスプレーを噴射して消臭するオプションです。

何が問題かというと、入居前に不動産会社の担当者が作業するため、入居者は作業現場を確認できないことから、2年間で215件の契約をしたうち、127件が未実施だったことが判明したのです。

すべての不動産会社がずさんなサービスとは限りませんが、大手不動産チェーン店では同じようなオプションが各社用意されているので、不要と感じた方は「必要ないので外してください」と伝えるようにしましょう。

下記は大手不動産チェーンで用意されているオプションサービスです。

不動産チェーンオプション名
アパマンショップ安心入居サポート消臭・抗菌代
エイブルコンシェルジュ24ハウス消毒
ミニミニ入居安心サービス消毒料
ピタットハウス安心サポート消毒代

4.まとめ

賃貸の管理費について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

管理費は貸主が自由に決める賃料の一部です。また、共益費とは意味合いが多少異なりますが、募集条件として使われるときはどちらも同じ用途で使用されます。

そして、管理費や賃料はそう簡単に値下げには応じてくれないので、その他の費用も合わせてうまく交渉することがおすすめです。

賃貸の交渉可能な費用

注意点として、あまりに交渉が続くと貸主への印象が悪いので、できれば1項目、多くても2項目までにしておきましょう。

このページを見たことで、あなたの管理費に対する悩みが解決でき、1円でもお得に契約できることを心から祈っています。

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