賃貸の違約金の全知識|プロが教える相場と請求されやすい10のケース

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

「賃貸の違約金ってなに?」「違約金の相場はいくら?」など、賃貸の違約金について疑問に思っていませんか?

賃貸の違約金は、契約条件に違反したときに発生する費用のことで、相場は賃料1ヶ月分が一般的です。ただし、物件によっては2~3ヶ月分請求される恐れもあります。

このページでは、大手不動産会社に5年勤務し、現在も賃貸会社で働く筆者が以下の流れで違約金についてご紹介します。

  1. 賃貸で違約金がかかる理由と一般的な考え方
  2. 違約金が発生しやすい10のケース

すべて読めば、賃貸の違約金がどんなお金なのか、どんなケースで請求されるのか、などを知ることができるので、無駄な違約金を払わずに済む知識が身につくでしょう。

1.賃貸で違約金がかかる理由と一般的な考え方

物件を借りるには契約を交わす必要があり、その契約条件に違反したら当然違約金がかかります。

違約金の金額は物件により異なりますが、「一般的には賃料1ヶ月分」です。 そして、違約金が発生する主な理由としては、”途中解約”に関することがほとんどです。

この部分について詳しく解説していきます。

1-1.違約金として請求されることが多いのは”短期解約違約金”

短期解約違約金たんきかいやくいやくきんは、貸主が定めた期間内に解約したときに発生する違約金です。一般的に多いのが、「2年契約のうち1年未満の解約は違約金1ヶ月分」という条件です。

この条件が定められている物件で、契約から1年未満にあなた都合の解約をするときは、必ず違約金を払うことになります。

なぜ違約金が必要なのか

違約金を求められる理由は、2年契約なら2年間住んでもらうことを想定して家賃を決めているため、予定より早く解約されると採算が合わなくなるからです。

すべての物件がこの理由とは限りませんが、貸主によっては”2年住んでもらえて多少利益が出る”ぐらい家賃を安くしているケースもあります。

この部分を補うために、短期解約違約金を設定しているのです。

期間と金額の設定は物件によって変わる

一般的には1年未満で1ヶ月分ですが、期間と金額は物件によって変わります。中には「半年未満で2ヶ月/1年未満で1ヶ月」などがあったりします。

条件が厳しい物件だと「2年未満の解約で1ヶ月」となっていることもあるので、これから物件の契約をする人は必ず条件を確認した上で契約しましょう。

ちなみに、この内容は不動産会社で契約するとき、借りる人に説明することが法律で義務付けられているので、必ず説明を受けるはずです。

1-2.契約条件を確認するには契約書を見ればすべてわかる

契約条件を確認するには、不動産会社から控えとしてもらう「賃貸借契約書ちんたいしゃくけいやくしょ」を見ればすべてわかります。

契約書には「甲・乙」という言葉が出ていますが、このとき「甲は貸主」・「乙はあなた」ということになります。

そして、違約金の条件は主に「乙からの解約」または「特約事項」の項目に以下のような形で記載されていることが多いです。

(短期解約による違約金について)

”1年未満による乙からの解約の場合は違約金として賃料1ヶ月分を甲に支払う”

契約書が手元にない場合

契約書をなくしてしまって手元にない場合は、管理会社に電話して違約金の条件を確認すると同時に契約書のコピーを送ってもらいましょう。

悪徳な不動産会社だと契約書を確認できないことを手玉に取り、無駄に請求してくる可能性もあるので注意が必要です。

契約から5年以内であれば、必ず不動産会社に契約書の控えは保管されています。仮に5年前の契約であれば違約金は発生しないので、安心してください。

1-3.違約金を交渉して減額してもらうことはできる?

交渉すること自体は可能ですが、契約条件として納得した上で借りているので成功する確率は限りなく低いです。

融通がきくやさしい貸主で病気や怪我など止むを得ない事情があれば、もしかすると減額もしくは免除してくれる可能性もあります。

そのため、何かしらの解約しなければいけない理由があるなら、ダメ元でも一度相談してみた方がいいでしょう。

1-4.違約金の支払いを拒否するとどうなる?

拒否することもできますが、正当な理由がない場合は不動産会社から催促され続けることになります。

ただ、数万円程度であれば、貸主が泣き寝入りしてくれるケースも稀にあったりします。

決しておすすめしてるわけではないので、あなたに非がある場合はきちんと支払いましょう。

保証会社と契約している場合は逃げられない

保証人の役割を果たしてくれる保証会社と契約してるときは、保証会社が違約金を一時的に立て替えてくれます。

このとき支払いを拒否し続けていると、保証会社から訴えられ裁判を起こされる可能性が高いので逃れることはできません。

また、保証会社によっては借金の取り立てのような形で催促してくる会社もあるので注意しましょう。

1-5.被害を受けたときの解約でも違約金は発生する?

賃貸のトラブルで被害を受けて、仕方なく解約するケースが稀にあります。例えば、隣人の素行が悪く生活していくことが不安で解約する場合など、一見違約金は不要に感じますがケースバイケースです。

貸主が隣人を注意もしないでほったらかしにしていたら、”解約しなければならない正当な理由”として認められ免除される可能性が高いです。

対して隣人に再三にわたって注意していた場合、貸主としての義務は果たしていることに加え、貸主も被害を受けている立場なので、免除は厳しくなりそうです。

大規模修繕で日当たりが悪くなったケース

例えば、マンションの改築により日当たりが悪くなるケースがありますが、これは説明を受けていなければ免除される可能性が高いです。

理由として、大規模修繕は契約する段階で案が出ていたり、予定が決まっているのであれば、借りる人に知らせる義務があるからです。

ただ、言った言わないのトラブルに発展しないように、契約書に以下のような内容が書かれているか確認してみましょう。

【大規模修繕】

乙は本物件の大規模修繕のうち○○○○年○月○日現在、大規模修繕計画があり(時期未定)、修繕期間中は騒音及び臭気、バルコニー等の使用制限、窓の開閉制限、洗濯物等への影響が発生することを了解し借り受けるものとする。

部屋の設備関連の場合

例えば、排水管がつまって悪臭がひどくて生活できない場合など、誰に非があるのかを明確にしましょう。

明らかな設備不良であれば、管理が行き届いていないことになるので貸主に非があります。

対して、掃除を怠っていたり、つまりの原因となるものを流していた場合などは、あなたに非があると判断されるので注意しましょう。

2.違約金が発生しやすい10のケース

賃貸で違約金が発生するのは短期解約だけとは限りません。一般的な契約でも違約金が発生するケースはたくさんあります。

契約書を見るのが面倒な方もいるかと思いますが、以下の10のケースに該当する場合は違約金が発生する可能性があると考えておきましょう。

  1. 申し込みをあなたの都合でキャンセルしたとき
  2. 契約を交わした直後にキャンセルしたとき
  3. 礼金0の物件を契約したとき
  4. フリーレント付きの物件を契約したとき
  5. 学生専用の物件を契約したとき
  6. 家賃滞納を繰り返したとき
  7. ペット不可の物件でペットを飼育したとき
  8. 繰り返しトラブルを起こしたとき
  9. ひとり暮らし専用の物件に二人で入居したとき
  10. 許可なく他人に部屋を貸し出したとき

2-1.申し込みをあなたの都合でキャンセルしたとき

賃貸の申し込みをしたあとに、あなたの都合で一方的にキャンセルした場合、物件によっては違約金を請求されるケースがあります。

契約もしてないのに違約金?と思うかもしれませんが、入居申込書に違約金がかかる旨が書かれていたりするのです。

申込書の注意事項

原則拒否することはできる

基本的に不動産業のルールで、「契約前に費用を請求しないこと」と決められています。

そのため、原則支払いを求められても拒否することはできますが、印鑑を押して提出してしまうと、不動産会社に言いくるめられる可能性があります。

そんなときは、下記の最寄りの不動産協会に連絡して請求されている経緯と不動産会社名を伝えれば、解決できるケースが多いです。

申し込みのキャンセルについて詳しく知りたい方は、「賃貸の申し込みをキャンセルしたい!高額請求されないための全知識」を確認しましょう。

2-2.契約を交わした直後にキャンセルしたとき

不動産会社で契約してから入居開始する前のキャンセルでも、違約金1ヶ月分を請求されることが一般的です。

契約書に署名して印鑑を押した時点で契約は成立したことになるので、部屋に入る前であっても解約と同じ扱いになります。

この内容は、以下のように契約書に書かれているので注意しましょう。

 (賃貸借期間前の解約)

賃貸借期間の開始日までに、乙が本契約を解約したときは、乙は直ちに違約金としてlヶ月分の賃料、管理費等相当額を甲に支払うものとする。

2-3.礼金0の物件を契約したとき

礼金は貸主に部屋を貸してくれるお礼として支払うお金ですが、礼金0の物件は短期解約違約金の条件がついていることが多いです。

貸主の報酬を0にして借りる人の負担を減らす代わりに、短い期間で解約する場合は見返りとして違約金を設定するのです。

そのため、礼金0の場合は違約金が設定されているか必ず確認しましょう。

2-4.フリーレント付きの物件を契約したとき

フリーレントは一定期間の家賃がタダになることですが、礼金同様に借りる人の負担を減らす見返りとして設定されます。

注意点として、1年未満の解約違約金と、フリーレントに対する違約金が設定されている場合、1年未満に解約すると合計2ヶ月分の違約金を請求される恐れがあります。

また、短期解約の違約金発生が1年未満の条件でも、フリーレントの違約金発生が2年未満の条件になっているケースもあったりします。

2-5.学生専用の物件を契約したとき

学生専用物件は2年もしくは4年住み続けることが一般的なので、その分家賃を安くして募集していることが多いです。

繰り返しとなりますが、貸主は2年住んでもらうことを想定して家賃を決めているので、予定より早く解約されると採算が合いません。

その部分を補うため、学生専用物件では家賃を安くする代わりに違約金を設定することが多いです。

2-6.家賃滞納を繰り返したとき

契約書の条件として一般的なのは、「家賃2ヶ月以上滞納したら契約解除とする」という内容ですが、解除の代わりに違約金を設定することもあります。

どちらにしても契約解除か違約金を支払うかに分かれるので、現に家賃滞納してる人は契約書の条件を確認してみましょう。

2-7.ペット不可の物件でペットを飼育したとき

契約違反の代表的なケースですが、バレた場合は違約金を請求される可能性が高いです。

神経質な貸主でペットは絶対に禁止としている物件だと、「発覚したら違約金3ヶ月」のような高い違約金を設定していることもあります。

この部分は貸主が自由に決められるため、バレたときは請求通り支払うことになるので注意しましょう。

楽器も同様です

楽器禁止の物件で楽器演奏すると契約違反になります。

ペットほど厳しく追及されないですが、契約違反にはかわりないので注意しましょう。

2-8.繰り返しトラブルを起こしたとき

貸主から注意されているにも関わらず、近隣住民に迷惑をかけることを繰り返す場合も、違約金を請求されることがあります。

違約金だけでは済まされず、最悪の場合、契約解除となる可能性もあるので、日々の生活のしかたにも注意しましょう。

住居専用物件を事務所として使用することも違反となるケースがある

事務所として使っていることがバレた場合も契約違反になるので、違約金が発生することがあります。

ただ、このケースは非常にバレにくいので気にせず使用する人もいますが、バレたときはトラブルに発展するので注意しましょう。

自宅を事務所として利用する方法は、「賃貸住宅を自宅兼事務所にする全知識|業態別にフローチャートで解説!」で詳しく紹介しています。

2-9.ひとり暮らし専用の物件に二人で入居したとき

ひとり暮らし専用の物件で同棲やルームシェアをしてバレたときは、違約金を請求されることがあります。

このケースは、遊びに来てただけなどと言い逃れしやすいですが、明らかに二人で住んでることが明白なときは支払いに応じるしかありません。

また、ひとり暮らし専用なので、違約金を払ったからといって住み続けることは難しく、退去を求められる可能性も非常に高いです。

2-10.許可なく他人に部屋を貸し出したとき

あなたが借りた部屋を友人などに貸して、友人から賃料を受けとる行為は”転貸”といい、明らかな契約違反となります。

転貸は貸主の許可がないと法律違反となるので、違約金に留まらず損害賠償を請求されることもある危険な行為です。

絶対にバレない自信があるなら自己責任でしてもいいと思いますが、少しでも不安な要素があるならやめておきましょう。

3.まとめ

賃貸の違約金について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

賃貸で請求されることが多いのは、「1年未満の解約で賃料1ヶ月分」の短期解約による違約金です。

物件ごとに期間や金額が変わるので、契約書を見て確認してみましょう。そして、そのほかに違約金が発生しやすい項目は以下の10のケースです。

このページを見たことで、あなたの違約金に対する悩みが解決でき、無駄な違約金を払わずに済むことを心から祈っています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket